アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

水彩絵の具

数年前そして昨年の夏

水彩画の魅力に触れる機会があり

家にあった教材の固形画材で

久しぶりに水彩画を描いた。

 

それからまたしばらく

水彩絵の具を使っていなかった。

 

先月末に針仕事をしながら

自分に問いかけた。

どうして水彩絵の具を愛用しないのかと。

 

即答したのは小学生の私。

青の濃淡で描いた絵を見た母が

「寂しそう」と言い

木や夕日を描いたら

「実際はそう見えない」と先生に言われたから。

 

描いているときの楽しさを

パレットの上に置き去りにして

そのまま閉じて

ずいぶん長い間

パレットを開かなかった。

 

大人のいうことを聞かなくちゃいけない

非難されることや

批判されることは

やらない方がいいと

信じていた女の子に私は伝えた。

 

「描きたいものを描きたいように描いていい」と。

 

小学生の私はぽろぽろと泣いた。

そして泣いていることに驚いていた。

自分がこんなに縮こまっていたことに

気づきもしなかったのだ。

 

私はこの女の子に

とびきり上等な水彩絵の具セットを

プレゼントする。

 

そして彼女が楽しんで描いた絵を

眺めながら一緒に微笑む。

 

 

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foto Yaegashi Luna