夕べ白猫スカイが
洗面所に飾ってあった花瓶を
落として割った。
材質もよくデザインもいい。
無名の作家の一点もの。
でも花を挿す穴が小さくて
小さな草花でも数本しか
生けることができない。
中にたまった汚れを
洗うのも難しい形。
私の「母」を連想させる花瓶だった。
そんな花瓶の下方が割れて
笑っているスライムに
そっくりだった。
映画「ショコラ」で
母親の遺灰のツボが割れるシーンを
なんとなく思い出した。
母が娘にかけた魔法からの解放。
そんなことは我関せずと
スカイはすやすやと
ソファーの上で眠っている。
foto Yaegashi Luna