着るためではなく作る側。
「イタリアの高級ブランドといえば?」
街角アンケートをすれば
必ず名前がでるほど有名。
「自宅で隙間時間にお小遣い稼ぎ」
そんなキャッチフレーズがぴったり。
そういうアルバイトがあるという噂を
聞いたことはあったが、コネがなかった。
毎年出店していた
お祭り会場の小屋が撤去されたけど
なんとか夏のバカンス資金を稼ぎたい。
そう思っていたら
高級ブランド服を作る工場の
経営者が近所に引っ越してきた。
「仕事がたくさんあるときだけの
臨時アルバイトだけど」
希望通りの条件。
糸始末やボタンつけ、裾処理。
チマチマした手仕事は得意だけど、
年がら年中やりたくない。
イタリア国内で作られた良質のシルク。
布1mで4~5万円。
友達がネットで調べたら
1着30万円の服だった。
その後、やって来たのは
パーティードレス。
あのワンピースが30万円なら
きっと1着で新車が買える。
そんな服が我が家に何十着。
ネコ・オット・コドモを
半径1メートル以内に近寄らせず
もくもくと作業をした。
手にした報酬はぴったりバカンス代金。
ありがたき「引き寄せの法則」。
クリスマス以後イースター前は
手作り小物の閑散期。
「そういえば、あのアルバイトは?」
とダンナが言った2日後に
新しい仕事の連絡があった。
恐るべし「引き寄せの法則」の威力。
foto AkinoAnn 写真素材 足成