イタリアに来てちょうど
高校卒業くらいの年数が経った。
言いたいことも
自由に表現できず
知らないことばかりで
まるで幼い子供みたいだなと
そう思っていた。
それを自分で受け入れた。
知らない国で生きていくのだから
生まれ変わったと思えばいい。
日本で成長してきたように
ここでも小さい女の子に戻ったつもりで
ゆっくり学んでいけばいいや、と。
一人で歩けたし
買い物や留守番ぐらいは出来たから
4~5歳くらいのつもりで。
そう思っていたから
ちょうど大学卒業くらいの
イタリア年齢。
幼子にしてはよく手伝いをする
とてもいい子だったと自画自賛する。
アルバイトはするけど
就職活動はしない。
「仕事は自分で作る」
それはイタリアに来た時から
ずっと抱いている方向。
「ミラノやローマに行かないと
仕事は見つからないわよ」
と言った人がいる。
まだ言葉を巧みに紡げなかった私は
胸の中で即答した。
「誰かの指示を受ける仕事をするために
ここに来たわけじゃない」
この答えは今も変わらない。
foto Yaegashi Luna