アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

愚痴を喜ぶ母親

友達が送ってくれた雑誌に

母と娘の関係特集が載っていた。


母親自身が気づかない

我が娘への嫉妬。


年老いていく自分の姿と

成長とともに華やぐ娘を

無意識のうちに比較して

その嫉妬を愛情に見せかける。


高級品質だけど

若い女性の魅力をくすめる服。


想い人と上手くいかないとき

結婚生活が混乱しているとき

貴女のことをわかってあげられるのは

この私よ、とささやく。


そんな風に娘が自分より

ほんの少し不幸なら

かわいがってあげる。


思い当たることがあり腑に落ちた。


日本で結婚していたときも

イタリアでの生活に関しても

私が愚痴をこぼすと

母は少し嬉しそうに話にのってきた。


もちろん彼女に

直接聞いても全否定するだろう。

なにしろ自覚のないことだから。


私に娘はいないけれど

同性への嫉妬を

感じた経験はあるからわかる。


自分のなかにくすぶる

女性としての欲望と

ちゃんと向き合っていないと

それは自分より幸せそうな

同性への嫉妬として溢れ出る。


私はじっくり細やかに

自分自身のどろどろな内面と

向き合ってきた。


嫉妬心があることを

隠そうとすると

見ないように蓋をすると

腐った生ごみのように悪臭を放つ。


だからちゃんと向き合う。

素手で掴むと気持ち悪いものでも

腐る前に処分する。


母を恨んではいない。

自覚症状のない嫉妬を抱えて

キツいのは彼女の方だろうし

反面教師の役を引き受けて

大切なレッスンをしてくれて

感謝している。


でもね、お母さん。

私はもう愚痴を言って貴女を

喜ばせることはできません。


いつの日か貴女も

くすぶる感情をそっと

手放すことができますように。


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Foto Yaegashi Luna