アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

長いトンネルを抜ける方法

ポンチョのようなデザインの服を

今現在、職場で作っている。

毛布のような長方形の布に

腰紐をつけてぎゅっと締める。


私が担当しているのは

長いチューブ状の紐を細い

トンネルのような縫い合わせ部分に

手作業で通す、という部分。


紐の先にピンをつけて

少しづづ移動させていく。


ウエストにゴムを通す作業として

何度もやっていたから

コツも知っていて難しい動作ではない。


ところが職場経験の長い人たちが

悪戦苦闘している。

なぜなら彼女達は一気に引っ張るから。

しかもピンのついた先をぐいぐいと

力任せに動かそうとする。


通す穴が細ければ細いほど

挿入部分の根本をこまめに引っ張りながら

ピンのついた先近辺にシワを寄せ過ぎないことが

スムーズに紐を通すコツなのだ。


人生のトンネル通過に似ている。

たいていの人は目の前にあるしわ寄せ部分に

力を込めて無理矢理進もうともがく。


先の長そうなトンネルであればあるほど

根本部分を少しづつ伸ばすことで

前進スピードがあがる。


長いトンネルの入口に意識を向ける。

これをやらないで力技で進もうとするから

疲れるうえにちっとも前にいけない。

どんどんしわ寄せ部分が頑強になり

やがて動かなくなる。


病気の根本になにがあるのか。

関係のもつれの入口はどこか。


問題の基点に戻ることで

現在の動きのしわ寄せ部分がすっと伸びる。


癒し、ヒーリング、原点回帰。

それは逃げではない。

目を背けて根本を見ないようにする行為が

現実逃避なのだけれど

たいてい逆の思い込みを抱えて

無理矢理進もうとする。


1本紐を通すごとに

どこかで誰かがトンネルを抜けますように。

そう願いながら手を動かしている。



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Foto Yaegashi Luna