アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

続けられるから辞めるという引き際

全身を動かす快感を

呼び覚ましてくれた空手。

始めたのが42歳。辞めたのは45歳。


スポーツ少年少女が

大人になってにやりがちな

怪我をひと通りやったけれど

それでも辞めなかった。


痛めた足をかばってひょこひょこと

歩いている姿を見て

友達は「やめれば?」と言った。

何を言われても辞める気はなかった。


出産を経験した女性にありがちな

尿もれ対策も必要だったけれど

それでも苦にならなかった。

練習日には大好きなビールも飲まず

水分を控えて大きめのナプキンをつけて

動き回っていた3年半。


潮時だと感じたのは

自分自身との戦いをやめたから。

実際の対戦相手がいない型の演武でも

基本的に仮想敵の攻撃をかわし

応戦する気迫が必要。


私の世界に敵は全く存在しないと

定義する人生を生きることにしたので

防御も応戦もいらなくなった。


その心境で練習はできるのか

実際に試してみて決心した。

大丈夫。続けられる。

だから辞めよう、と。


理想の引き際を実行した時の

ビールの味は格別だった。


1日目の金の糸のような月をみて

数年前の出来事を思い出した。

穏やかな夕べでありますように。


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Foto Yaegashi Luna