アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

嫌なヤツ・逃げたくなる出来事の存在価値

昨夜窓を全開にして
酷暑の昼の空気を
入れ換えていたら
何かがキッチンに迷い込んだ
気配と物音がした。

バタバタと羽の音が
聞こえるけれど姿が見えない。
音を頼りに居場所と正体を探る。

冷蔵庫の裏にハマって
もがいている雀を見つけた。

助け出すには突くしかない。
システムキッチンの冷蔵庫は
脇も床もピッタリ閉塞。

傘で雀を隙間から追い立てる。
端に追い込み
掬い上げるように傘を動かす。

なんとか飛び出した雀は
天井の梁に止まって
ハァハァと息を荒げている。

そこはいっときの安全地帯。

ずっと放置できない。
窓から出て彼の居場所に
飛んでいってもらわないと
救出作戦は完了しない。

モップで追い立てて
雀を窓まで導く。

パニックになっている雀は
必死に羽ばたく。
壁や家具にぶつかっては
とりあえず足場があれば
羽の動きを止める。

雀からみたら私は
恐怖感を与え続ける
得体のしれない大きな怪物。

でも出ていってもらわないと
彼の命が危うくなる。
放置できない。

何度も何度も追い立てる。

やっと雀は西の窓から
もんどり打つようにして
飛び出していった。
まっすぐに本当の彼の
居場所へと飛んでいく。

振り返ったりしない。

助けてくれてありがとう。
そんな感覚はいらない。
脳に不要な記憶を溜め込まない
野生動物はそれがあたりまえ。

私達ニンゲンは
嫌なヤツに追い立てられたり
逃げたくなる出来事が続いても
やたらと我慢しすぎる。

もしそこが
自分の居場所じゃないのなら
さっさと背を向けて
飛び出していいのだ。

野生動物と人間を
比べる行為は愚かしい。
でもあえてヒトを高知能の
生物と定義してみる。

ふさわしくない場から
追い立ててくれた嫌なヤツや
不快な出来事に対して
感謝することが出来たら
記憶を塗り替えることができる。

これが出来て初めて
「高知能」と呼べると思う。

ヤバいと思ったら
まずは全力で逃げる。
それでいいのだ。
感謝なんていらない。

安心して笑顔でいられる
そんな場所でゆったりと
暮らせるようになって
過去を振り返る。

感謝できるならそれはもう
完全に手放していいこと。

さて針仕事へ行ってきます。
素敵な1日をお過ごしください。


Foto Yaegashi Luna