アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

生意気なんだよ読めないくせに【しろいうさぎとくろいうさぎ】

突然思い出した。
中学1年生の頃
学校で英語の本を
販売するという企画が
英語部で開催された。

絵本・本が当時も大好きだった。
喜び勇んで図書室へ向かう。
普段手に入れにくい本が
向こうからやってくるなんて!

「しろいうさぎとくろいうさぎ」
の英語版が目にとまった。
この本は母が大好きな絵本。
丁寧で繊細な画風を
私もとても気に入っていた。

これにしようかな?と
ぱらぱらめくっていたら
販売担当の生徒がつぶやいた。

「読めないくせに
 生意気なんだよ」

結局その絵本を買ったか
買わなかったの記憶がない。

気に入った絵本は何度も何度も
眺める子供だったので
たぶん購入しなかったのだろう。

うっすらとそのセリフを吐いた
人物の面影は覚えている。
けれど名前は忘れた。

悔しい、怖いというような
感覚は抱かなかった。
変なの、と思った。

すらすら読める本ばかり
読んでいたらいつまでも
語彙は増えないし
表現力も磨かれない。

その出来事をバネにした
なんていう記憶もない。

たぶん今その女の子は
イタリア語を話せないだろうし
英語の要約文を添える卒論を
書いたこともないと思う。
単なる推測だけど。

他人の言動にとやかく
口を出す人はたいてい
自分の居心地がいい場所だけに
こじんまりと留まって
冒険もせずに無難な人生を歩む。

そして彼らのできないことを
軽々とやってのける人々を
羨ましそうに眺めるだけ。
またはあら探しに時間を費やす。

それも選択肢のひとつだから
かまわないのだけれど。

その頃も今も私は
「少しハードルの高い
 すらすら読めない本」
を好んで手元に置く。

そうやって語彙力が磨かれたし
学びに終わりはない。

今日も夏らしい1日になりそう。
素敵な週末をお過ごしください。


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