アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

15年に1回だけの「ありがとう」に「ありがとう」

通勤路として選んでいるのは
ほんの少し遠まわりの道。
くねくねとした細い道路は
車通りが少なくて絶景。

慌ただしい気配を
漂わせる自動車がほぼ皆無。
散歩かランニングをしている
人間と数台の通常運転の車しか
通らない田舎道。

この季節はドングリがたくさん
カーブのところに落ちていて
パチンコ玉の上を走るみたいで
ゆっくり走らないと危ない。
先日ハンドルを取られて
ヒヤリとした瞬間があった。

昨日の帰宅時
ドングリを掃いている男性がいた。
車を止めて窓を開けて
お礼を直接伝えた。

「Grazie mille!!」
「ありがとうございます」

すると男性は
こちらこそありがとう、と言った。

15年間ときどき掃除してるけど
初めてお礼を言われたよ、と。

最近やはり近所の女性が
ハンドルを取られて
危うくスリップ事故を
起こしそうになったらしい。

給料をしっかりもらってる
清掃車の連中はこの道を掃除しに
来てくれないんだよ。

だからできることはやってる。
さすがに毎日掃除はできないけど。

道に空いている穴を
なんとかしてほしいと
連絡しても動いてくれない。

彼のいろいろな思いが
ドングリのようにポロポロと
たくさんコトバとして溢れる。

見るに見かねての掃除。
類友だなあ。

離婚して出ていった家に
今ちょくちょく顔を出す。
元ダンナが入院中で
息子達が2人でなんとか
いろいろやりくりしている。

食事を作ったり猫やインコの
世話をする間にササッと
あちこちを掃除する。

その家を離れて3年。
3年間の汚れが溜まっている。
あちこちにベタベタと。

枯れた植物や3年前の
クリスマスの飾りが
そのまま放置されている。

素通りするだけなら
見てみぬふりもできるけど
そこで何かをするならば
気持ち悪くなってしまうから
きれいにせずにはいられない。

見るに見かねて掃除しちゃう。

「開運のために古いものは捨てて
 新しいものを買いましょう」

っていうプロパガンダが
好きじゃないんだよね。
もちろん消耗度合いによるけど。

「金運をあげたいから
 毎月下着やタオルを新調する」

「キッチンスポンジは1週間で変える」

そういう行為が好きじゃない。
自分の金運やら開運とやらのために
ゴミをどんどん増やすなんて嫌。

眼の前から消えれば
物は完全消滅すると思うのかな?
そのゴミはどこへいって
どこに溜まるか想像できないのかな?

嗚呼、ワタシの口からも
ドングリのようにコロコロと
コトバが落ちてくる(笑)

お池にハマる前に
ササッと掃いてから
針仕事へ向かいます。
素敵な1日をお過ごしください。


Foto Yaegashi Luna