アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

フィッシング詐欺とアドラー心理学

長男が騙されてしまった。
郵便貯金をごっそり
移動させることに詐欺師たちは
成功してしまったのだ。

責任者を装って
「口座情報が漏れてしまったので
 安全な指定口座に預金を
 移動させてください」
とメッセージと電話で連絡。

前日にその話を
夕飯のときに聞いて
ホントに郵便局の人?と確認した。

電話番号も郵便局の位置も
間違いない、というので
それ以上息子のスマホを
確認しなかった。

メッセージを見れば一目瞭然。
だったのだけれど。
事が済んでしまっては後の祭り。

振り込み後にさっさと
お金を移動させるために
翌日に「口座変更手続き完了事務」の
偽の予約設定をして
指定郵便局に行っても
誰もそのことを知らない…という
状態になって私に連絡がきた。

予約をすっぽかされて
その後連絡がとれない。
明日一緒に郵便局へ来て欲しい、と。

同じ家に住んでいないので
振り込み後の書類も目にしなかった。

残念ながらすべて
口座を所有していた本人が
直接手続きしているので
どうしようもない、と
本物の責任者に言われた。

被害届は出してきたけど
もうきっと国内に
彼の貯金はないと思う。
そういう国際組織もあるのだ。

すでに済んだことは
仕方ないのだけれども
フィッシング詐欺が横行していると
知っているはずの窓口の担当者が
口座と通帳を空っぽに
しようとしている行為に
疑問を抱くべきだと思う。

実際に高額の移動を窓口で
行うときは通常質問される。
差し支えなければ
目的を教えていただけますか?と。

最悪の場合、窓口の担当者が
グルの可能性もあるので
いちおう直談判にいく。
詐欺の報告件数が
なにかの役に立つかもしれない。

ずいぶんと高い人生勉強の
レッスン料を振り込んだ長男。

この世の中の薄汚い泥を
全身で浴びてしまった彼が
学んだことはたくさんあるだろう。

兄の身に起こったことを知って
怒りを爆発させた弟は
キッチンの備え付け家具を
蹴り破って破壊した。

そんな渦中に身体が
思うように動かない父親が
退院して帰宅する。
荒れ模様の日々が続く彼らの家。

つかず離れずの距離で
暮らしている私は
母親としてできることはする。

けれども渦中には一緒にいられない。

こういう場合に
アドラー心理学は
その本領を発揮する。

私が後悔してもなにも解決しない。
長男の悔しさややるせなさに
同調・同感してもお金は戻らない。

課題の分離を実践すると
ずいぶんと冷たい態度に
見えるかもしれない。

一緒に腹をたててあげられない。
できることをするしかないのだ。

あのときこうしておけば
という後悔にしがみついていては
先に進むことができない。

きっと息子達はもう
フィッシング詐欺に
騙されることはないだろう。

この先一生通用する彼らの
授業料だと考えれば
それほど高額ではないかもしれない。

世の中にはずっと
詐欺まがいの場所に
献金する人達がいるのだから。

今年がんばって働いた
長男の稼ぎはどこかの誰かの
私腹を肥やす流れにのった。

「クソみたいな世の中だ」

純粋だった息子が警察の待合室で
ぽろりとこぼした言葉。

そうだね。

残念ながら人の不安を煽って
エネルギーを吸い取ろうとする
吸血鬼はたくさんいる。

人間として生きていくか
吸血鬼の仲間になって
他人のエネルギーをちゅうちゅうと
吸い取って生きていくか。

それを決めるのは本人。

今日はこれから直談判へ行ってきます。


Foto Yaegashi Luna