アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

最後まで甘えん坊じゃなくて

黒猫アトスが永眠についた。

昨日の朝、日向ぼっこをして

後は何も食べずにずっと寝ていた。

 

夕食前に姿が見えず

家中を探した。

 

外に出られる猫ならば

あの時点で姿を消したのだろう。

 

彼のトイレの中に横たわっていた。

 

息はあったが

アトスの美しいグリーンの瞳が

少し濁っていて

抱き上げると

いつものように抵抗したのだ。

 

うにゃーん、降ろせ!と。

 

最後まで

甘えん坊じゃなくて

抱っこ嫌い。

 

自分の匂いが染みついた

かごの中で丸くなり

眠りについて

そのままの姿で呼吸を止めた。

 

暖炉やかごやテラス。

そして足元。

そこにいないという事実が

時折、私の記憶をつつくだろう。

 

最後の晩餐は鳩の丸焼き。

 

あっぱれな生き方だった。

 

綺麗な夕日が見える

私のお気に入りの場所に

連れていこう。

 

野良猫だったアトスが

暖かい寝床とエサの代償にしたのは

大地との触れ合い。

 

アカシアの木の下で

アトスは静かに眠る。

 

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foto Yaegashi Luna