アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

ぎゅっと目を閉じたままの少女

幼いころ母は

星座の説明図のようなものが

空を駆け巡るのを見たり

ひとりで留守番しているときに

部屋のすみにうごめく

もやもやしたものを見たという。

 

大人に話をすると

「そういうことは言わない方がいい」

と諭され

ぎゅっと目を閉じたまま

そのまま大きくなった。

 

私はどちらかといえば

聴こえるタイプ。

 

はっきりしたコトバにならない

流動的なかたまりとして

脳内に響くことが多い。

映像と絡むこともある。

 

村上春樹さんの

「ダンス・ダンス・ダンス」に登場する

ユキという少女が

とても上手に説明している。

 

それを解読しようと集中しすぎて

ぼろぼろになった時期があった。

 

「誰」が発しているのかは

追及しない方がいいと感じていたので

単に「声」と名付けた。

 

そのまま受け取り

不要な部分は取り除く技術が上達し

チャンネル調節が上手になり

今は日々の生活に

惜しげなく活かして暮らしている。

 

特殊能力ではない。

誰もがかつては

あたりまえなこととして

フルに活用していた。

 

緊張感を解きほぐし

リラックスするだけで

その使い方を思い出すことができる。

大好きなことに夢中になってもいい。

 

名誉や所有や不安や恐怖から

離れたところにある

ごくあたりまえの感覚。

 

ぎゅっと目を閉じなくても大丈夫だよと

幼い頃の母にささやく。

 

無理強いはしない。

いつか少女は目を開ける。

 

 

f:id:yluna:20170606213939j:plain

foto Yaegashi Luna