アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

換金サービスの窓口で聞いたシングルマザーの教え

数年前、使っていない金のアクセサリーを

すべて換金することにした。

昔ご縁のあった人からもらったもの。

全く使っていないもの。


ちょうどクリスマス前だったので

家族へのプレゼントにも加算できる、と

重さを測って現金にするサービスのお店に

初めて入ってみた。


ひとりの女性が丁寧に対応してくれて

約3万円くらいに換金してくれた。

窓口や店の入口は厳重に防御設備が施され

少し不思議な感じの空間だった。


提供しているサービスの性質上

利用者は稀だと思う。

私の他には誰もいなかった。


そこで好奇心にまかせて質問してみた。

ここで集まった金製品はどうなるのか?と。

いったん全て溶かされるという。

質屋のように転売することはないのだそうだ。


窓口がひとつしかないその代理店には

受付換金業務をする彼女と私しかいない。

そこで世間話に華が咲いた。


彼女はシングルマザーで娘と2人暮らし。

どのように行動すべきかという教えが

とても興味深く印象に残っている。


家から1歩外に出たら周りを不快にするような

言動は慎みなさい。話し方も服も食べ方も。

ただし帰宅して扉を閉じたらなにをしてもいい。

裸で手づかみで食事をしたっていい。

誰もいないんだから。

嫌な気持ちをどんな言葉遣いで吐き出してもいい。

でもそれは家にいるときだけにしなさい。


2人暮らしならではの教育方法なのかもしれない。

でもこれは我慢しすぎてストレスを溜めがちな

ひとり暮らしの人が活用できるやり方。


家族と暮らしていたって応用できる。

叫びたいことがあったらカラオケボックスで

ひとりで全部吐き出してしまう。

お風呂場で食べたい物を食べたいように食べる。

嫌な出来事を全て書き殴って破って捨てる。


他の誰かを不快にさせなけれはそれでいい。

ひとり神殿の中でムカつく事象に

独断の制裁を加えて滅多切りにする。


匿名を使って顔を出さずに

インターネット上でこれをやって

どこかの誰かを不快にさせている人は

腐るほど存在している。


ひとりで完結させてすっきりしてしまえばいい。

誰も傷つけないで。不快にさせないで。

誰かの快楽のために他の誰かが犠牲になる仕組みは

もう根本からなくなってしまえばいい。


シャワーを浴びて裸のままうたた寝したときに

ふと窓口の女性の娘への教えを思い出した。


そうだよ。

嫌悪感を後生大事に抱えて生きることはない。

「すべてに感謝しないとダメ」っていう

似非(エセ)ポジティブ思考は深い歪を

心身にもたらしてしまうから。


換金サービスの窓口にいた

シングルマザーの女性は心と身体の

錬金術を教えてくれた。

ありがたく応用させてもらっている。



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Foto Yaegashi Luna