アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

知ることで世界が変わり後戻りできない

小学校初登校の日に
6年生が歓迎会をやってくれた。
「なんて読むでしょう?」
というクイズが出題された。

私は手を上げて「タト」と答えた。
黒板には「外」と書いてあった。

絵本が好きだったから
小学生になる前に
ひらがな・カタカナは
ひととおり読み書きができた。

今の子供達にとっては
あたりまえなのかもしれない。
だけど当時の田舎町では
小学校に通う前に
文字を読める子供は少なかった。

だから正直言って
学校の授業のトロさが
少し不思議なくらいだった。

どうやって文字を覚えたか
覚えていないくらい幼いときに
兄の教科書を読んでいた。

漢字をどれくらい
覚えて入学したのかは
全く記憶にないけれども
「タト」が「外」に塗り替えられた
あの瞬間はよく覚えている。

嗚呼!これが漢字か!
たくさん情報が入ってる
おもしろい記号だ!
しかもたくさんあるんだ!

そう感じてとてもわくわくした。

教科書も図書館の絵本も
私にとっては宝の地図だった。
そこには凝縮された情報がある。

しかもひとりで好きなときに
ふれて戯れることができる。

毎年新しい教科書を
もらう季節は嬉しかった。

学校が嫌い
勉強が嫌い

その感覚がわからなかった。
知らないことを知る喜びは
真っ直ぐにキラキラした体感。
今もそれは変わらない。

唯一めんどくさいのは人間。

わちゃわちゃと
くだらない比較競争を
ふっかけたり促したりする。

「圧倒的に違う状態」になれば
こうるさい人間は消えることが
これまでの経験からわかった。

しかも先入観を捨てれば
こうるさかった人間が
まるで別人のように振る舞う
魔法のような光景を見られる。

タト(他の人の途)が外(ソト)に
なった瞬間と同じように
なにか新しい発見をするたびに
ワタシは更新される。

学びは喜び。

先週職場で学んだことは
ミシンのパーツのこと。
きれいな縫い目にするための道具。
それがあるなしで完成形が変わる。

家で学んだことは
即席出し汁の作り方と実践。
ストレッチの新技を試して
ミノムシの生態も調べた。

そのことを知らない私が
存在する世界線にはもう戻れない。

セックスを体験したら
知らなかった世界には戻れないし
出産して親になったら
未出産の世界には戻れない。

だけど大きな変化にだけ
必要以上の期待をかけすぎると
いろんなことが歪む。

日々のささいなことに
知らないことはたくさんある。

今日私はなにを学ぶだろう。
とても楽しみだ。

素敵な日曜日をお過ごしください。


Foto Yaegashi Luna