アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

冷めたチキンを寒い家で頬張る

ひゅうひゅうと外で風が吹く。
キッチンの気温も低い。
吐く息が白い。
昨夜の残りの冷たい唐揚げ。
白湯を飲みながら立ち食い。

冷めたチキンを皿にものせず
獣のように頬張る
その女性が2度の離婚を経て
ひとり暮らししていたら
あなたの目にはどう映る?

家族団欒が幸せの象徴だと
思っている人には
耐えられない光景かもしれない。

粗雑な言動をする人を
人間扱いできない特定層には
やってることが野蛮過ぎて
気持ち悪くなるかもしれない。

ベジタリアンやヴィーガンには
残酷な暴力的シーンかもしれない。

ひとりになりたい。
のんびりしたい。
日本から脱出したい。
肉をガツガツ食べたい。
そういう人には
うらやましい姿かもしれない。

人間の数だけ解釈の種類がある。
なにかを見て感じること
それは鏡効果のなせる技。

社会常識や他人の基準はどうであれ
私自身は穏やかで満たされていて
「しあわせ」という感覚しか
今の時点で抱いていない。

暖房をつけて部屋を整え
クリスマスパーティの用意をする。
イタリアならではのごちそう。
家族や友人達との他愛もない会話。

そういう楽しみ方も
たっぷり20年間味わった。
おもしろかった。

毎年クリスマスツリーの
イルミネーションを眺めて
静かに祈り続けていた。

「みんなが笑顔でまた
 この光を楽しめますように」

ちゃんと願いは叶っている。
姿を変え形を変え
周りの人々は笑顔で
それぞれの豊かさを軸に
穏やかに暮らしている。

今回のクリスマス休暇は
創作活動に使うことにした。
作りたいものをとことん作る。
そんな環境があることに
心から感謝するばかり。

昨夜の息子達とのおしゃべりは
ほんとうに楽しかった。
彼らの成長をまのあたりにして
母親としての喜びも
たっぷり味あわせてもらった。

夕べの食器を放置した
寒いキッチンでガブリと食べる
冷たい唐揚げは美味い。
体内を流れる白湯の
あたたかさがありがたい。

極みの味わいだな、と思う。
地肉の争いの勝利者が慾る
弱者の冷たい肉と
全てを浄化する澄んだ水。

陰陽の両極をいっぺんに
体内に入れる儀式。
これは静かな宣言。

世の中の矛盾を噛み砕き
自らの体を通過させて
いただいたエネルギーを
世界に放つ糧にする。

つくづく思う。
映画鑑賞は私にほぼ必要ない。
時折どうしても見たい作品が
向こうからやってきたり
誰かとたまに見る程度で充分。

自分の人生そのものが
静かでドラマチックで
おもしろくてたまらない。

今朝の衣装や小物も完璧。
部屋着の上に毛布を被り
乱れ髪のまま残り物を
がっつく中年女性。
うわあ!すごい演技力だ!

そんな風に俯瞰して
くすくす笑ってから
創作活動に戻る。

迫真にせまる演技力。
実力派のクワセモノ。
彼女の活躍に乞うご期待。

素敵なクリスマスイブを。
イタリアの田舎町から世界中の
笑顔のために祈ってます。

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Foto Yaegashi Luna