アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

螺旋階段を昇る

ぐるぐると

同じようなことを

繰り返しているようでも

それが上昇方向なら構わない。


「螺旋階段が怖い」


そう言った友達がいる。

踊り場がないから

落ちたら止まらない、と。


私にはなかった発想だった。


村上春樹さんの「1Q84」にも

螺旋階段が登場する。

そこを降りることで

主人公の世界が変わった。


「変わること」を恐れるのは

人間の本能だという。


私は昨年、螺旋階段をたくさん昇り

自分の世界が変わった。


ぱっとみ何も変わらないのに

根底から基盤が覆された世界。

確かに怖かった。

人間の防衛本能だから仕方ない。


でも私は逃げなかった。

もとの場所に戻らない選択をした。

やがて空気の乱れもおさまり

穏やかな日々が流れる。


少し高い場所に昇ると

今まで自分が居た場所がよく見える。

どうして事が起こったのか

はっきりとわかる。

渦中にいると見えなかったことが

とてもよく観察できる。


だから今

よくわからないことがあっても

螺旋階段を昇り続ける。


後からちゃんと

謎が解けるとわかってるから。


1歩足を進めても

あまり変化がないようにみえる眺めは

100歩進んだときに

がらりと様相を変えている。


春の景色を楽しみながら

今日も1歩、歩みを進める。



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Foto 喜多山ひかる