アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

午前2時22分のオレンジ

洗濯機がとまったら干そうと思いつつ

寝落ちして目覚めた真夜中。

寝室の扉も窓も全開。

キッチンの窓がちらりとみえる。


夜空に浮かぶオレンジ色の塊は

そこだけ生命力に満ちあふれていて

静かな躍動感を放ちながらゆっくりと

稜線にむかって動き続ける。


せっかくの夜空の演出を

じっくりこの瞳で眺めようと

ベッドからリビングへ移動した。

ソファの右端は特等席。


華やかなスポットライトを浴びて

エネルギッシュな興奮を体感する出来事と

対極にあるような光景をじっとみつめる。


太陽の世界と月の世界。

どちらがいいわるいの2択では

地球の美しさは語れない。


人間がもつ外の顔と内の顔。

どちらもその人のほんとうの姿。

だから私はギャップをこよなく愛する。

手描きの線のゆらぎのような

人生の波を愛おしく感じる。


ふと映画タイタニックの

ワンシーンが蘇ってきた。

私がいちばん好きな登場人物は

浸水がすすんで人々が逃げ惑うなか

椅子に座って優雅にお茶をたしなむ老夫婦。


いざというときに私達は

魂の状態を剥き出しに露呈する生き物。

お茶をいれたカップが大揺れしても

足もとに水がなだれ込んできても

ゆったりと微笑を浮かべて

船の揺れに身を任せる2人の姿は

私にとって理想的な生き方。


今この地球で生きている多くの人々は

タイタニックの主人公達に憧れ注目して

彼らのように素敵な出会いをして恋を楽しみ

荒波にもまれて世間の動きに翻弄され

できることなら愛する人と一緒に

生き延びることを切望しながら

毎日じたばたと暮らしている。


私は生まれつき半分死んでいるような魂。

けして悪いことではない。

幼い頃は老成した本質を少しだけ

持て余していたけれど。


沈みかけたタイタニック号の船上でのんびりと

2人のティータイムを楽しむ老夫婦を

お手本にしてたら人生終わりだよ!

とまわりに言われても

ずっと違和感を拭いきれなかった。


真夜中のオレンジ色の光を浴びて

浮かびあがってきたことを書きました。

もうひと眠りします。

おやすみなさい。



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Foto Yaegashi Luna