アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

ひとつの方向へ行けなくなったとき

心地よい日差しの日曜日の午後

久ぶりに徒歩で近所の店へ。

砂利道沿いの春の饗宴を

ゆっくり愛でながら歩いていたら

5分の距離に1時間半かかった。


芽吹きのパワーはすごい。

あちこちでエネルギーが蠢き

枝や茎から新芽や蕾を

これでもか!という勢いで

光の方向へ押し出している。


艷やかに輝く色彩と生命力に

圧倒されながら写真を撮る。

太陽が眩しすぎると

どんな風に写っているのか

さっぱりわからない。


最近のお気に入りの木は桃。

花と葉のバランスが刻々と変化して

表情が変わる度にため息をつく。

ふと根本に目を向けると

伐採された枝の周りに

見事な芽吹き芸術が造形されていた。


切り取られた枝は選択しなかった人生。

頑丈に見えていたけれど

ざっくりと伐採された枝の

今はなき面影を描いては悔んで

動けなかった寒い季節は過ぎゆく。


エネルギーに満ち溢れた新芽が

閉ざされた方向の周りに

ぐんぐんと伸びて行く。

可能性はこんなにもたくさんある。

そんな風に語るがごとく。


ひとつの方向へ行けなくなったとき

その周りにある無数の可能性が

芽吹くタイミングを待てばいい。

春は必ずやってくる。



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Foto Yaegashi Luna