アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

騙されやすい性質を利用する

戦争や事故で手足を失った人が

もうないはずの手足の痛みに

苦しみ続けるという現象を解決すべく

取り組んだインド人医師がいる。


原因は脳にあると検証を重ね

鏡を使った治療法を生み出した。


左手を失った人の右手を

ミラーボックスに入れて

動く様子を見ることで

脳に「左手がちゃんと動く」

という情報を与える。


すると脳は事故の時に刻まれた

左手の痛みを消去して

新しい感覚を上書きするのだ。


治療法だけでなく

騙されやすい脳の性質を活用する方法は

いろいろ紹介されている。


例えば面接前に控室で

机の上に足を乗せて

ふんぞり返って待機したグループと

普通に椅子に座っていたグループでは

面接のときの身体的リラックス度合いが

明らかに違うという結果を

導き出した実験がある。


偉そうな仕草をしていただけで

面接官に対する恐怖感が和らいだ。

単純な脳が騙された結果

目の前にいる人物達が

自分と同等だと判断したのだ。


ビギナーズラックと呼ばれる現象も

この脳の性質からくる。

相手や状況に関する情報が

皆無に等しいから全く緊張せず

実力差も知らないから恐れも出ない。

だからのびのびと動くことができる。


こんな騙されやすい脳に

私達は大切な判断を委ねがちだ。

「経験からの知識」が活きる範囲なら

それも有効だけど

未経験の状況が目の前にあると

全く役にたたない。


だから私は未知なることを決めるとき

脳に主導権を渡さない。

「よく考えろ」というアドバイスは

不適切だと思っている。


頭を空っぽにして何も考えない。

または全て解決したときの

自分自身にアクセスする。


脳に蓄積されている情報は

役にたたないのだから

すとんと降りてくる直感を信じる。


突拍子もないことでも

何かひらめいたらそれをやってみる。

できる範囲でいいから、すぐに。


もし解決すべきことがあるなら

それが全て上手くいった

心境を感じながら動く。


例えば納品すべき物の材料が

山積みになっていても

これが全て終わった時に

どんな感覚で何をしたい?と問う。


「冷えたスパークリングワインと

きゅうりの塩漬けを味わいたい」


それくらいならすぐできる。

ならばそうする。

そしてご機嫌モードで仕事をする。


そんな日々を送っている。

愛しき騙されやすい脳に感謝しつつ。



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foto Yaegashi Luna