アレコレ楽書きessay

「イタリア楽描きessay」のサブブログ

山羊の家族とエイリアン

車のオイルとフィルター交換をした。

待ち時間に散歩していたら

池の近くで山羊の家族に遭遇した。


金網のそばでじっとこちらを見ている

髭のながい雄は父親。

足もとには2頭の子ヤギ。

むしゃむしゃと草を食べている。

雄よりひと回り小柄な山羊は母親。


少し近付いてみた。

私の動きを凝視していたオスは

踵を返して逃げ出した。

後を追うメス山羊。

あわててついていく子山羊。


少し離れた木陰にたたずむ母親の

乳をねだる子ども達。

彼らはなぜ移動したのかわかっていない。


その様子を観察しながら考えた。

人間も動物も家族を守るために

見慣れないモノが目につくと

まずは逃げるんだな、と。


山羊の星に降り立ったエイリアン。

そんな気分だった。

もちろん私に悪意はない。

触るつもりもなかった。

ただ距離を縮めて観察したかっただけ。


恐らく地球に降り立つ宇宙人も

こんな感覚なんだろうな。

見慣れない生命体が近寄ると

良識ある大人は逃げる。


怖いもの知らずの人間は極少数。

大多数は知らないものを過去の知識で

判断できないから怖くなる。


おばけ・知らない人・未知なる状況。

知識が人を救うこともあるけれど

逆に不要な恐怖を植え付けることもある。


たくさんの経験をして

いろいろな限界を突破することを学ぶと

まるでなにも知らない子どものような

無邪気な立ち位置にたどり着く。


なにも知らないことと

本当にたくさんのことを知っている状態。

それは紙一重の違いなのだけれど

とてもよく似ている。


散歩を終えた私を待っていたのは

艷やかなエンジン音のUFO。

輝く緑の物体に乗って

私は自分の住処へ帰還した。



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Foto Yaegashi Luna